奈奈の中国留学日記(2026年4月)


 中国に来て約2カ月が経った。生活には慣れ、日常生活へのストレスはほとんどなくなった。

 

・授業が楽しくなってきた

 前回の日記で、中国語への自信を完全に失っていると書いた。1か月の時間が経ち、友人や先生のおかげで前向きに授業に行けるようになった。

 思い悩んでいそうな私の様子を見かねて、同学が先生を交えたご飯会をセッティングしてくれた。そのときに、先生が私がどうしたら気楽に授業を受けられるかを一緒に考えてくれた。私の先生は去年大学を卒業したばかりの同い年で、先生も色々な困難にぶつかりながら毎日頑張っていて、「我们一起加油吧(一緒に頑張ろう)」と言ってくれた。タイミングを図りすぎて発言できない私を積極的に指名してくれたり、少し大げさなまでに褒めてくれたりするようになり、話すことが怖くなくなった。中国に来てまだ1か月しか経っていない私にここまで親身になって寄り添ってくれる先生や同学に出会えて本当に幸せだと日々感じる。レベルの高いクラスでしんどいと感じることも多くあるが、この環境でなら頑張れるという前向きな気持ちが湧いてきた。

 

・風邪をひいた

 4月の南京は寒暖差がとても激しく、風邪を引いた。室友(ベトナム人)がなぜか持っていた日本の点鼻薬をくれたり、中国生活が長い韓国人同学が部屋までよく効く薬を届けてくれたり、寮のインドネシア人同学が体温計を貸してくれたりした。夜中に熱が上がったのだが、美团(デリバリーサービス)で薬局の薬を買えるサービスがあり、早朝でも医薬品を寮まで届けてもらえた。動くのもしんどかったが、美团でおかゆを頼んで毎日食べていた。2日間学校を休んでしまったが、優しい人たちと便利なサービスのおかげですぐ直った。日本も美团くらいデリバリーが発達すればいいのに。

 

・青岛に行った

 中国語に対して自信を失って落ち込んでいた時期に、週末を使って一人で青島に行った。私は愛知県出身だからか、海と山を両方感じられる青島の空気を吸ったら、とても懐かしい気持ちになり元気が出た。ふらふらと散歩し、歩いているときに見かけた店で海鮮餃子と青島ビールを飲み、青島ビール博物館でおつまみの豆菓子の詰め放題を時間を気にせず詰めまくり、夜市の熱気を全身に浴びた。東北の人は背が高いと聞いたことがあったが、青島の人にも背が高い人がとても多く感じた。青島に行って以降、背の高い人に出身地を聞くと大抵山東(青島がある省)よりも北の人が多いことが分かった。中国の人が話す、〇〇の人は〇〇だ、のような偏見を聞くのが好きだ。違うじゃん!と思うことも、やっぱりそうなんだ!と思うこともある。もっと中国のことを知りたくなった。

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・苏超を見に行った

 同学と話しているときに、南京のある江蘇省では苏超というものがとても人気であることを知った。苏超は江蘇省内の13都市にあるそれぞれのサッカーチームが戦うもので、去年からとても盛り上がっているらしい。江蘇省はとても裕福な省で、省内の各都市での対抗意識がとても強いらしく、その対立をうまく煽って苏超は人気を高めているようだ。

 チケットの当選率はとても低く、同学4人で申し込んだが当たったのは2人だけだった。连云港市まで动车(電車)で行ったのだが、駅から街中に至るまでたくさんの苏超の看板があり、苏超のチケットを持っていると観光地のチケットが無料になるなど、観光客を呼ぶための施策がたくさん行われており、現地経済を潤す効果が確かにあるのを感じた。現地で乗ったタクシーの運転手さんに聞いたところ、やはり苏超のおかげで町全体が活気づいていると話していた。試合も満員御礼で、3万人が観戦に来ていた。连云港にしかない奶茶店(ドリンク店)などの飲食店が出店していたりと、試合以外にも魅力がたくさんあった。試合終わりにホテルに向かうバスに乗ろうとしたところ、そのバスは无锡から来たファン専用だったらしいのだが、「南京からわざわざ来たなら乗せてあげるよ」と无锡のおばさま方が乗せてくれた。サッカーを応援しに来た者同士の連帯感のようなものを感じて温かい気持ちになった。おばさま方、ありがとう。

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・プレゼン

 一週間の間にプレゼンが二回あり、その準備がとても忙しかった。一つは個人発表、もう一つはグループ発表だった。

 個人発表は、珍しい仕事をテーマに発表するもので、転んだペンギンを起こしてあげる南極探検隊の仕事や都市内のにおいを地図に書き起こして観光客に売る仕事、ベトナムの女性シャーマンなど、同学の経験や出身地にまつわるものがテーマで、どれもとても興味深かった。私は、せっかくなら自分の専門(人類学)の発表の練習になることを発表できたらと思い、以前人類学の調査で訪れたエチオピアで出会った職業を紹介した。中国語で専門に関連した発表をするのは初めてでとても緊張したが、同学たちも興味を持って聞いてくれて、質問も沢山してくれて嬉しかった。

 グループ発表は、前述した苏超について取り上げ、人気の理由を分析することにした。20分という長めのプレゼンで、メンバー間で協力して構成を考える必要があり、調査も中国語で行わなければならなかったので、困難も多かった。しかし、なんとか形にすることができ、先生からも好評をいただけてとても充実感があった。ただでさえプレゼンは伝えるための工夫をしなければならないのに、日本語でも英語でもない中国語で観客の目を見て話すのはとても脳みそが疲れた。

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 ・先生に自分の意見を言った

 南京大学には请假というシステムがあり、学生は決められた回数内で欠席をすることが許されている。私は5月のある金曜日にこの请假を使って欠席し、北京で行われる日中交流イベントに参加しようと先月から計画していた。しかし、先生の体調不良で授業の進行が遅れ、期中考(中間テスト)の日程がその日に重なってしまった。その期中考は木曜または金曜にグループで弁論をして、自分が弁論をしない回は聴衆として参加するというものだ。学業が最優先なのは理解しているが、学期初めに言われたテスト日程で予定を組んでいて最低限の予定管理はしていたつもりだったので、自分勝手なのは理解していたが、迷いに迷った挙句「木曜日に弁論をさせてもらえませんか」と先生に聞いてみた。すると、口语课(スピーチの授業)の先生はとても真面目な方で、自分勝手なことを言うなと怒らせてしまった。失礼なことをしてしまったかもしれないが、相手がヒートアップしている状況で自分が落ち着いて謝ったり、自分の意見を言ったりするのは初めての経験だった。弁論の日程はくじ引きで決まるので、自分の運を信じて木曜日を引くしかない。善行を積んで運気を高めたい。

 

・校友旅行に行った

 名大の同窓会旅行に参加させてもらい、浙江に行った。私以外全員が中国の人で、初めは少し緊張したが、先輩方はとても優しく私を迎え入れてくれた。学校で自信を失っていた時期だったが、中国語が上手だね!と褒めてくれたり、学姐のご主人で日本語が話せない方も中国語で普通に会話してくれたりと、温かい雰囲気の中で安心して発言することができたため、中国の人と話すことに対する恐怖感がここで一気に拭えた。先輩方が留学していた時期に名大近くにあったという中華料理店の話を聞いたり、名古屋の話題で盛り上がれたりと、共通の話題もたくさんあって嬉しかった。中国に親戚ができたような気持ちになった。毎週末校友旅行に行きたいくらい先輩方のことが大好きになった。来月も再来月も企画してください…(無理か…)

 サプライズで賞状などをいただき、日々の頑張りをたたえてくださって涙が出るほど嬉しかった。この時期自分で自分のことを認めることができていなかったが、温かくてすでに大好きになった先輩方にたくさん褒めてもらえて、本当にこのタイミングで自信を取り戻した。賞状には「日中交流の中で成長と楽しみを見つけてください」という趣旨のことが書いてあり、国同士の関係がよいとは言えない中で中国に留学する機会をもらったことの意義を再認識した。個人レベルでできることは少ないけれど、自分にできることを探しながら日々を大切に過ごそうと思った。いただいた賞状は壁に飾って、毎日ニヤニヤしながら眺めている。

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・美容院初体験

 髪の毛が伸び放題になっていたので、中国の美容院に行ってみた。日本語で中国の美容院の体験記を調べると、「髪の毛がチリチリになった」「角刈りになった」などと恐ろしい情報が出てきた。結局新街口という繁華街にある日式美容院の予約を取り、パーマをかけに行ってみた。

 行ってみると看板には「ハアサロン」「にほん色」などと謎の日本語が書いてあり、大丈夫か?!と不安になった。予約してしまったので観念して入ってみると、老板は日本語は話せないもののとてもフレンドリーな人で、私のところどころ拙い中国語も聞いてくれて、希望通りの髪形にしてもらえた。美容院にいた2時間ほどずっとお喋りをしていて、南京话を教えてくれたり、学校では習わないような脏话(ちょっと汚い言葉)を教えてくれたり、おすすめの観光地や食べ物を教えてくれたり、中国の社会について思うところを話してくれたりした。やはり中国の現地の人と話すと知らないことをたくさん教えてもらえて楽しい。来週は老板がおすすめしてくれたご飯屋さんに行こうと計画している。

 

・そんなに見ないでください

 外国人同学と中国語で話していると、中国人(特にご老人と子供)にじっと見られることがある。私たちの中国語は確かに変で、南京市内には外国人はあまり多くないから見慣れないのだと思うが、ちらっと見る程度ではなく、何分もじっと見られ続けたことが幾度となくある。とても尴尬(気まずい)なので、なにか言いたいことがあるなら言ってほしい。地铁に乗っているときに日本語字幕のついた動画を見ていたり日本語でLINEをしていたりすると、ご老人や小さい子供に画面と顔を交互に見られたりもする。

 スウェーデン人同学と一緒にいるとき、中国のおばあちゃんにあまりにも近くでじっと見られ続けたので、英語に切り替えて「なんでこんなに見るんだろうね」と話した。スウェーデンでは他人をまじまじと見るのはかなり失礼なことのようで、我慢の限界だし理由が気になるからと、「どうしてそんなに見るんですか?」と直接中国語で聞いていた。そのおばあちゃんが言うには「外国人が中国語を話しているのは変な感じがするんだもん」らしい。なるほど、深い理由はなくじっと見ていたのか。だとしてもそんなに見なくても、と思うのは私が日本人だからなのだろうか。