中国の便利なサービス備忘録(2026年6月現在の情報)

VPN

 中国で日本のアプリを使うにはVPNが必要である。初めは誰でも無料で使えるサービスを利用していたが、動画の視聴やファイルのダウンロードに向いていなかったため、私はSuikaVPNを契約していた。中国に長期滞在している周囲の日本人はUCSSを利用している人が多かった。かなり質は高そうだが、それだけ料金も高く、短期間の契約だと割引率も高くないため短期滞在には向かないようだ。ほとんどのサービスで無料お試し期間があるため、実際に使って比較してみることをおすすめする。

 私は不注意で滞在中にVPNの使用期限が切れてしまい、日本のVPNの契約ページに入ることすらできなくなってしまったことがある。日本のサービスが一切使えなくなってとても不安だったが、中国でも使えるTrip.comから香港マカオ対応のeSIMを1日分契約して日本のネットワークに入りなおした。中国の祝日が近づいたときや北京などの一部地域では繋がりにくいサービスもあるため、長期滞在者は2つ以上のVPNを契約している人も多かった。

 VPNをオンにしていると中国のアプリが正常に機能しなくなってしまうため、一日に何度もオンオフするのが地味に面倒だった。

 

EMS(中国から日本に荷物を送る)

 中国から日本にいる家族へ急ぎで送りたい荷物があったため、中国邮政のEMSを利用した。

 手続きにはパスポートが必要である。手順としては、中国邮政の窓口で「我想用EMS把包裹寄到日本(EMSで日本に荷物を送りたいです)」などと伝えると手続きをしてくれる。中国邮政指定の箱を購入してそれに詰めなければならないため、自分では簡単な包装をしておけばよい。基本的に重さで料金が決まる。あとは指示に従って書類を埋めるのだが、内容物をすべてリストアップしてそれぞれの重さと値段をアメリカドルで記述する必要がある。(Tシャツ1枚200g,US100…など)。送り状は二重線で消して書き直すことができないため、書き損じると追加料金を取られる。日本の住所は漢字でいいか?と聞いてから漢字で書いたのに、後から「やっぱ英語でも書いて」と言われて英語で書き直した。職員の人が中国語でパソコンに入力する必要があるようで、日本の住所を簡体字(ピンイン付き)で示す必要があった。私の日本の住所には中国語にない字が含まれているため、いきなりピンインを問われて困った。発送後は微信のミニプログラムで荷物を追跡することができる。

 EMSが一番早いが、それだけ料金も高い。服を2枚(500g程度)送っただけなのに5000円近くかかった。10日程度かかると言われたが、実際には7日で日本に届いた。中国邮政から送る方法としては他に航空便と船便がある。所要日数は祝日や物流の都合で変動するようで、窓口で確認する必要がある。

 中国邮政以外では、FedExDHL、顺丰などの手段がある。私の住む南京大学の地域からはそれぞれの事務所が遠かったため、電話で料金と日数を確認した。私の場合はFedExが最速(最短5日)だったものの、1万円かかると言われて断念した。予算と日数に合わせて比較することをおすすめする。

 南京の街中の郵便局に訪れてEMSを送りたいと伝えたところ、最初に対応してくれた職員さんから「1万円で14日かかる」と言われた(実際には5000円で5日間)。それを言われたときににわかに信じられず、小红书などで調べたあと、もう一度違う職員さんに聞いたところ、5000円でよいと言われた。なぜこれほど大幅に異なる説明になったのかは分からないが、発送にはコミュニケーションが必要なため、中国語ができない場合は中国人の知人に同行してもらうか、事前に必要な表現を調べ、翻訳アプリなどを活用してコミュニケーションを取るのが安心だと感じた。

 

・顺丰(中国の宅急便)での送り方

 帰国にあたり、南京大学から重慶空港付近の滞在先にスーツケースを送ることにした。顺丰は微信のミニプログラム(顺丰速运+)から上门取件(荷物を家まで取りに来てくれるサービス)を予約できる。私も1時間以内の上门取件を予約していたが、しばらくして電話が来て「今日の夜遅くしかそちらの地域に行けない」と言われた。用事があったため上门取件を断って、スーツケースを持って直接顺丰の服务点(サービスセンター)に行った。服务点には①丰巢柜(ロッカー)、②顺丰网点(顺丰の店舗)、③合作商家店(顺丰も扱っている店)がある。私は合作商家店を利用したのだが、ここでスタッフが色々と手伝ってくれたためとても助かった。

 顺丰の実店舗に行き、「我想把〇〇寄到△△(〇〇を△△に送りたいです)」と伝えると、重さを測ったり梱包したりしてくれる。重さと発送先都市で料金が決まる。ミニプログラムから送り先などを登録していたら、中国の身分証番号がないと操作が進められなくなってしまった。外国人であることを伝えたところ、そのスタッフの身分証番号を使って送ってくれることになった。上门取件であれば取りに来てくれた人にパスポートを提示するだけでいいらしい。

 特快(エクスプレス)と标快(普通)から運送スピードを選ぶことができ、私は急いでいなかったので标快を選択した。予定日数よりも半日早く届き、各20kgのスーツケースが2個で5000円ほどだった。スタッフがクーポンの取得の仕方を教えてくれて、クーポンのおかげで1000円ほど安くなった。开学(新学期)の時期などは安くなるキャンペーンもあるらしい。その後は生成されたQRコードを読み取って料金を支払い、ミニプログラムで追跡することもできる。ホテル等に大きな荷物を送る際は、事前に荷物を送ってもよいかや保管しておいてくれるかどうかを確認しておくと安心。

 

・顺风车を使ってみる

 中国はタクシーが日本と比べてとても安いが、さらに安い顺风车というサービスを高德地图から予約できる。これは、指定した時間に同じ目的地に向かう一般の人などが車に乗せてくれるサービスである。私は早朝に空港に向かう必要があったが、タクシーを予約すると4000円と高かったため、1000円で行ける顺风车を予約した。同じ時間に同じ方角に向かう人が少ないと全くドライバーが捕まらない。ドライバーが相乗りを承認すると、確認の電話かメッセージが来る。高速道路代について、①ドライバー全額支払い希望②ドライバーと自分で折半③自分が全額支払う、から選べる。一度だけ、ドライバーと折半を選択したにも関わらず全額請求され、しかも実際に支払った高速道路代の2倍の額を請求されたことがある。顺风车は一般の人がドライバーであることもあり、トラブルが起きた際に中国語で毅然とした態度で対処する必要がある。

 

 

・押金・返金

 中国のホテルに宿泊する際、押金(デポジット)の支払いを求められることがある。大抵は100-200元程度の支払いで、有料のドリンクやアメニティなどを開封した場合に、そこから差し引かれた額が清掃後に返金される。これは実際にホテルに赴かなくてもホテル側の操作のみで返金できるので、もし返金されていない場合でも電話などで連絡すれば対処してもらえる。

 ある日、旅先のレストランで微信のコード決済支払いをしたところ、支払いが失敗したと店員に言われた。微信に紐づけた私のクレジットカードからは確かに引き落とされていたものの、とりあえずはその場で2度目の支払いをした。クレジットカード会社に連絡するための証拠として支払い失敗の画面を提示するよう店員に依頼したものの、店側は成立した支払いしか確認することができないとのことで、システムを見せてもらったが確かに私の支払い記録は残っていなかった。契約しているカード会社の国際電話番号の不正利用窓口に連絡しようとしたものの、中国からは繋がらないようで、日本に帰国してから連絡するしかなくなってしまった。幸いにも数日後に1度目の支払い額が微信宛に返金されていたが、この件については、どのような流れで支払い失敗が発覚し、なぜ数日後に返金されたのかが未だに分からない。中国からは日本のクレジットカード会社にすぐに連絡がつかないこともあるようなので、微信や支付宝に紐づけるカードは中国からでも連絡がつくカード会社のものにするか、中国の口座と紐づけることをおすすめする。

 

・両替と振込

 中国滞在中の支払いは微信支付と支付宝で行い、紐づけていた日本のクレジットカードから引き落とされるように設定していた。外国人版の微信支付や支付宝は200元以上の支払いでは3%の手数料がかかってしまうため、毎月口座に振り込まれる奨学金は高铁代など額の大きい支払いに充てていた。中国の口座を経由すれば200元以上でも手数料はかからない。口座の残り残高が十分でない場合でも、例えば400元の支払いが必要でも、街中であれば「200200元で支払ってもいいですか」と言えばそのように支払わせてくれる。お店側としては400元が確実に届けばよいので、私はきちんと理由を説明した上で今まで断られたことはない。

 中国の口座を持たない外国人版の微信支付や支付宝では、送金機能を利用することができない。短期の滞在でも送金が必要になる機会はあるが、その場合は中国の口座を持つ知人に依頼して微信や支付宝に送金してもらうことで、送金のために利用できる残高を増やすことはできる。私のモンゴル人の同学は、母国の家族がモンゴルの通貨を仲介業者に支払い、その業者が同学の支付宝に人民元を送金していた。日本円は比較的どこでも両替できるが、送金をしたい場合はモンゴル人同学と同じような流れで残高を増やす必要がある。

 家族が中国に来る際など、まとまったお金を口座に入れる必要があるときは、銀行にパスポートと日本円を持って行って両替して口座にお金を振り込んでいた。クレジットカードよりは多少レートがよいため、日本から現金を持って行って口座に入れるのもよい選択肢といえるだろう。

 

・打卡の特典

 中国の飲食店等では頻繁に「打卡するとプレゼントあげます」「デザート無料です」などと言われる。大众点评などのアプリで店舗を検索して下部の「打卡」ボタンを押し、必要ならレビューを書くことで特典がもらえる。これで私は今まで数多のデザート無料やドリンク無料、ポストカードやマグネットなどの特典を手に入れてきた。消費者からすればとてもラッキーなサービスだが、大量の人が同じことをしていればレビューの信頼性は落ちるので、店を探すときは複数のアプリを使って比較する必要がある。

 

・美团でのトラブル対処法

 美团の外卖(デリバリー)で頼んだタコスに異物が入っていたことがある。美团のプラットフォームから異物混入の連絡と補償を受けようとしたところ、中国の身分証番号がないと連絡できないと表示された。そのときは諦めてしまったが、後から同学が「美团経由ではなく店舗に直接連絡するとよい」と教えてくれた。そこから数週間後、普段からよく頼んでいるタイカレーのデリバリーで、普段の半分以下の量しかルーが入っていないことがあった。あまりにも少なかったため、店舗に直接連絡してみることにした。そのときは、「新人が適切な量を知らなかったから少なくなった、ごめん」と連絡が来て、微信経由で5元の红包(送金)が送られてきた。カレーは25元で買ったもので、5元だけ返されても追加のカレーを頼みなおすこともできないし、減らされた分のカレーも明らかに5元以上の価値があるものなので、損はしている(面倒なのでそのときはそれ以上なにもしなかった)。食品の異物混入などは保健所に通告すべきレベルなので、送金などで誤魔化してこようとしたら毅然とした態度を取らなければならないが、一般的なトラブルは店舗に直接連絡を取った方が早いことが分かった。

 

・投诉制度

 中国には投诉という制度がある。個人が、個人や会社などの不法行為を当局に訴え出ることができる制度である。私の日本人同学は、南京でタクシーに乗っている途中、日本人であることが分かった瞬間に激しく差別用語を言われてタクシーから降りるように命令されたことがあったという。同学が「今の差別発言を録音した。投诉するけどそれでもいいのか?」と言ったところ、タクシードライバーはなにも言わなくなったという。中国では投诉の影響を気にする人も多いようで、トラブルを穏便に済ませようとする場面を目にすることもあった。

 しかし、投诉に怯まない人もいる。旅行中に国家级风景名胜区である山に訪れたとき、山火事を防ぐために至るところに「禁煙」と書かれているのにタバコを吸っている男性がいた。それに対して若いカップルが「タバコ禁止ですよ」と声をかけたところ、男性は「黙れ」と返していた。カップルは男性を動画に撮り「これを証拠に投诉しますよ」と言ったにも関わらず、男性は「好きにしろ」と言いながらタバコを山にポイ捨てしていた。投诉を恐れない人もいるのだとそこで知った。

 他にも、私が寮の階段(大理石製)で滑って転んだ話を同学にしたとき「投诉すればすぐ直しに来るよ」とアドバイスを受けたり、中国人の友人が男性から受けたセクハラまがいの言動を投诉したことがあると聞いたりした。当局にチクるというのは私からすると最終手段のように思えるのだが、中国ではわりと身近に使える制度なのかもしれない。