日中漫画展やっと実現

 

南京で延期半年両国から90作品

中国江蘇省南京市で24日、日本と中国の漫画家の作品を展示する「日中漫画展」が始まった。日中の国交正常化40年だった昨年9月に開く予定だったが、尖閣諸島の国有化をめぐって中国各地で反日デモが相次ぎ、主催する日本側が延期を決めていた。

漫画展は、江蘇省と1980年から友好提携を結んでいる愛知県などでつくる実行委員会の主催で、28日まで。テープカットにのぞんだ愛知県の大村秀章知事は式典で、「日本と中国の間には様々な課題があるが、それを乗り越えて、お互いを尊重しながら、ウインウインの関係をつくっていきたい」とあいさつした。「日中漫画展が日本と中国の友好関係の発展に大いに寄与することを願う」とも語った。

江蘇省文化庁の高雲・副庁長も「今回の作品が、両省県民の互いの文化への理解を深めることを信じる」と応じた。

漫画展は「地球の未来の姿」がテーマ。ちばてつや氏、森田拳次氏らの75点と中国側の15点が並ぶ。会場を訪れた大学3年生の殷亜鵬さん(21)は「両国の相互理解のためになる」。日系企業に勤める尹朝庭さん(37)は「民間で、こうした芸術の交流をするのは良いことだ」と話した。

冷え込んだ日中関係のなかでも、とりわけ南京では、河村たかし名古屋市長が昨年2月、「南京事件はなかったのではないか」と発言し、中国側に強い反発が広がっていた。

上海の日本総領事館は、翌3月に開く予定だった交流文化行事「南京ジャパンウイーク」の延期を発表。日本側は開催を模索し続けているが、めどは立っていない。(南京=金順姫)

 

平成25325日(月)朝日新聞 朝刊 35面上段