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Nagoya
- 2013-03-28
石田記念名古屋大学インターナショナルレジデンス妙見
石田記念名古屋大学インターナショナルレジデンス妙見は、名古屋大学が留学生宿舎整備の一環として計画した、石田財団の記念施設を併設する93室の留学生用寄宿舎です。
敷地周辺は良好な住宅地が広がり、なだらかに傾斜した前面道路沿いに緑地帯を設ける配置計画とすることで街区にさらなる潤いを与えています。
外観は寮室バルコニー手摺のアルミ型材により水平ラインを強調することで、のびやかでダイナミックな印象を生み出しながらも、東西妻面の濃茶色磁器タイル等と組み合わせることで周囲の街並みになじむよう落ち着いた雰囲気を演出しています。
建物入口には外部から内部にまたがるオレンジ色のサイン壁を設け、留学生をやさしく迎え入れます。またこのオレンジ色が内部の玄関や階段の壁、寮室の扉枠や部屋の壁等に展開し、空間に彩りを付与し記憶に残る建物としています。
建物構成は中廊下タイプで無駄の無いコンパクトな平面計画としていますが、大きな窓をもつエレベーターホールや、階段を建物中央に南北を貫くよう配置するなど、自然光や通風が館内にいきわたる工夫をしています。1階エントランス空間も同様に南北に貫通し、北側前面道路に面する庭と南側庭を結び付けることにより明るく豊かな空間を実現しています。
寮室は1K(15.1 m2)にユニットバス、作り付け壁面収納を備えたコンパクトな間取りとし、床はタイルカーペット、壁・天井はビニルクロスの仕上げとなっています。窓ガラスは、出来るだけ大きな採光を取り入れると共に、熱損失・遮音性を考慮してペアガラスを採用しています。また外壁面への断熱材(50 mm)間仕切り壁の遮音性等良質な居住環境を提供できるよう配慮しています。
設備計画においても、留学生に配慮し、光熱費の最少化を図ったオール電化(電気温水器・IH ヒーター)、LED 照明等を採用しています。
構造計画としては、居室に柱・梁型の出ない壁式鉄筋コンクリート構造とし、居室は壁で2室を取囲む計画で中間に小梁を設けないことで、寮室の天井裏スラブ下をフラットとし将来における部屋利用の自由度が広がるよう計画しています。
その他、セキュリティ面から寮室・エントランスの玄関扉についてカードキーの採用、景観と利便性の面から建物内の一角に駐輪場を配置するなど、きめ細かく計画された建物となっています。
「名大トピックス」NO.237 8、9ページ